日本経済復活の会
借金時計 News 没落する日本経済 政府との質疑応答 国会議員等 活動 書籍
参考論文・記事等 論文 連絡先 次回定例会 過去の定例会 リンク ***
会長のブログ シンポジウム2004 ノーベル経済学賞受賞者からの手紙 会長プロフィール
政府との質疑応答
2005年2月17日衆議院予算委員会での小泉俊明議員の質疑議事録
平成十七年二月十七日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 甘利明君
理事  渡海紀三朗君  松岡利勝君  茂木敏充君  佐々木秀典君
    島聡君  田中慶秋君  石井啓一君  伊吹文明君  石原伸晃君
    植竹繁雄君  尾身幸次君  大島理森君  岡本芳郎君
    奥野信亮君  上川陽子君  河村建夫君  城内実君
    北村直人君  小泉龍司君  後藤田正純君  佐藤錬君
    鈴木淳司君  谷公一君  玉沢徳一郎君  中馬弘毅君
    津島恭一君  津島雄二君  寺田稔君  西川京子君
    西村明宏君  西村康稔君  根本匠君  萩野浩基君
    保坂武君  御法川信英君  村井仁君  森田一君  石田勝之君
    岩國哲人君  内山晃君  生方幸夫君  岡島一正君
    吉良州司君  小泉俊明君  小宮山泰子君  篠原孝君
    下条みつ君  津川祥吾君  辻惠君  中井洽君  中津川博郷君
    中塚一宏君  永田寿康君  長妻昭君  長安豊君  原口一博君
    樋高剛君  平岡秀夫君  馬淵澄夫君  松木謙公君
    松崎公昭君  松野頼久君  室井邦彦君  米澤隆君
    佐藤茂樹君  坂口力君  田端正広君  佐々木憲昭君
    高橋千鶴子君  山本喜代宏君
総務大臣 麻生太郎君
外務大臣 町村信孝君
財務大臣 谷垣禎一君
文部科学大臣 中山成彬君
厚生労働大臣 尾辻秀久君
農林水産大臣 島村宜伸君
経済産業大臣 中川昭一君
国土交通大臣 北側一雄君
環境大臣 小池百合子君
国務大臣(内閣官房長官) 細田博之君
    (有事法制担当) 村田吉隆君
    (経済財政政策・郵政民営化担当) 竹中平蔵君
    (行政改革担当) 村上誠一郎君
内閣府副大臣 西川公也君  林田彪君
総務副大臣 今井宏君
法務副大臣 滝実君
財務副大臣 田野瀬良太郎君
農林水産副大臣 岩永峯一君
経済産業副大臣 小此木八郎君  保坂三蔵君
内閣府大臣政務官 江渡聡徳君  木村勉君
財務大臣政務官 倉田雅年君
国土交通大臣政務官 中野正志君
環境大臣政務官 能勢和子君
会計検査院長 森下伸昭君
会計検査院事務総局第一局長 諸澤治郎君
政府参考人(内閣官房内閣審議官) 磯部文雄君
     (内閣法制局第一部長) 梶田信一郎君
     (警察庁生活安全局長) 伊藤哲朗君
     (総務省人事・恩給局長) 戸谷好秀君
     (総務省自治行政局公務員部長) 須田和博君
     (外務省大臣官房審議官) 中富道隆君
     (外務省中南米局長) 坂場三男君
     (外務省経済協力局長) 佐藤重和君
     (外務省国際情報統括官) 中村滋君
     (文部科学省スポーツ・青少年局長) 素川富司君
     (文化庁次長)加茂川幸夫君
     (厚生労働省健康局長) 田中慶司君
     (厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 外口崇君
     (厚生労働省労働基準局長) 青木豊君
     (農林水産省消費・安全局長) 中川坦君
     (資源エネルギー庁長官) 小平信因君
     (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官) 鷲頭誠君
     (国土交通省道路局長) 谷口博昭君
     (国土交通省鉄道局長) 梅田春実君
参考人(日本道路公団総裁) 近藤剛君
   (食品安全委員会委員長) 寺田雅昭君
予算委員会専門員 清土恒雄君
委員の移動
二月十七日
辞任 補欠選任
尾身幸次君 西村明宏君
河村建夫君 寺田稔君
小泉龍司君 岡本芳郎君
津島雄二君 津島恭一君
西川京子君 保坂武君
福田康夫君 奥野信亮君
二田孝治君 上川陽子君
岩國哲人君 室井邦彦君
篠原孝君 内山晃君
津川祥吾君 馬淵澄夫君
辻惠君 長安豊君
佐々木憲昭君 高橋千鶴子君
照屋寛徳君 山本喜代宏君
同日
辞任 補欠選任
岡本芳郎君 西村康稔君
奥野信亮君 城内実君
上川陽子君 御法川信英君
津島恭一君 谷公一君
寺田稔君 河村建夫君
西村明宏君 佐藤錬君
保坂武君 西川京子君
内山晃君 松崎公昭君
長安豊君 松木謙公君
馬淵澄夫君 津川祥吾君
室井邦彦君 岩國哲人君
高橋千鶴子君 佐々木憲昭君
山本喜代宏君 照屋寛徳君
同日
辞任 補欠選任
城内実君 福田康夫君
佐藤錬君 鈴木淳司君
谷公一君 津島雄二君
西村康稔君 小泉龍司君
御法川信英君 二田孝治君
松木謙公君 岡島一正君
松崎公昭君 平岡秀夫君
同日
辞任 補欠選任
鈴木淳司君 尾身幸次君
岡島一正君 辻惠君
平岡秀夫君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
小宮山泰子君 下条みつ君
同日
辞任 補欠選任
下条みつ君 松野頼久君
同日
辞任 補欠選任
松野頼久君 篠原孝君
【小泉(俊)委員】
 民主党の小泉俊明でございます。
 小泉政権も、ことしの四月二十六日で丸四年を迎えるわけであります。小泉改革を結果から見た場合に、日本の景気や経済は本当によくなってきたのでしょうか。また、日本はよい方向に本当に向かっているのでしょうか。
 小泉総理は、日本経済は着実に回復をしてきている、また、現在は景気上昇過程の踊り場にあるということを言っています。しかし、ほとんどの国民は、景気回復の実感は全くなく、よくなるどころかますます悪くなっているというのが正直な実感であると思います。戦いに負けていながら大勝利、撤退でありながら転戦と言っていた、まるで大本営発表のようなというのがどうも正直な実感だと思います。
 そこで、今まで、小泉改革をミクロで見た場合、倒産、自殺、また生活保護の増大等については何回も委員会でやらせていただきましたので、今回は、この小泉内閣約四年間の結果をマクロ経済の視点から見て検証をさせていただきたいと思うわけであります。
 まず、お手元の資料一をごらんいただきたいと思います。
 これは、日経平均株価の推移のグラフであります。御案内のように、小泉総理が就任しました二〇〇一年四月二十六日、株価は一万三千九百七十三円あったわけでありますが、二年後の二〇〇三年の四月二十八日、七千六百七円になりました。この下落率は何と四六%であります。田中内閣総理大臣以来、三十年間、十七人の総理大臣が出たわけでありますが、この四六%という下落率は断トツのワーストワンであります。そして、きのう現在の株価が一万一千六百円であります。これは、就任当時と比べまして一七%低い価格になっているわけでありますが、これも実は、ここ三十年間の十七人の総理大臣の中ではワースト第四位の記録であります。
 私は、小泉改革のまず四年間を見てみまして、株価については落第なのではないかと思うんですが、竹中大臣、いかがでしょうか。
【竹中国務大臣】
 経済の状況につきましては、引き続き、これは格差の拡大も含めてでありますけれども、大変厳しい状況であるという認識は当然私も持っております。そうした中で、少しでもよい方向に向かいつつあるというのが今の状況だと思っておりまして、委員御承知のように、先般のOECDの対日審査では、日本経済、ようやく過去十年で最もよい状況になった、そういう診断がOECDからも下されたところでございます。
 お尋ねの株価でございますが、株価、最初の二年間で、御指摘のように、これは四五%程度下がりました。その後ようやく底を打って、その後の上昇率は五十数%ということで、その後の上昇率もようやく高くなって、しかし、世界全体の株価の動向もこれはございますから、アメリカもヨーロッパも、この四年間を通じて見ますと、株価は下がっているという状況にあると思います。
 そうした中で、将来の期待成長率を高めて、さらに株価も安定的に高まっていくような、そういう結果をぜひつくりたいと思っているところでございます。これは、引き続き厳しい状況であるということは認識をしておりますが、しっかりと経済運営をしていきたいと思っております。
【小泉(俊)委員】
 これは、アメリカでは、大統領の評価は平均株価の騰落で決まると言われています。もしアメリカであれば、小泉さんは二〇〇%再選はなかったと私は思います。
 まず、小泉さんになってから、最大、国民の資産が株価だけでも約百五十兆円失われたと言われていますし、現在の、きのうの時点で一万一千六百円でも、就任の当時から約六十兆円の国民の資産が失われていますので、私は、この四年間の小泉改革の結果を見た場合に、株価については落第だということを明確に指摘しておきたいと思います。
 次に、資料の第二をごらんいただきたいと思います。
 これは、不良債権の残高の推移であります。竹中大臣や小泉総理がおっしゃるように、不良債権は、二〇〇一年から二〇〇四年度まで右斜めの矢印で、確かに減っています。
 次に、その次の第三の資料を見ていただきたいと思います。
 しかし、この資料は、銀行ですね、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行の貸出残高の推移であります。ごらんいただきますと、右斜めに矢印、一直線に落ち込んでおりますが、これは、月ごとの民間の銀行の貸出残だけ見ますと、何と八十五カ月連続で前年同月を下回るという極めて異常な事態が起きているわけであります。
 景気というものは、大臣、金回り、お金の回りでありますから、銀行の貸出残高がここまで、八十五カ月間前年同月で下落を続けているということは、小泉改革というのはやはり、この四年間やってきたけれども、景気の回復に関しても貢献してはいないと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。
【竹中国務大臣】
 銀行の貸出残高の減少が続いているという御指摘は、これはもうそのとおりでございます。ぜひ銀行、しっかりと貸出先を開拓して、ふえるような状況を今後ともつくっていきたいと思っておりますが、委員が御指摘のこの表そのものでございますけれども、これは、ちょっと細かいですけれども、一九九五年からの表でございますかね。この前の十年間ぐらいもぜひお示しいただきたいというふうに思うわけです。
 この前の十年間に何が起こったかといいますと、銀行の貸出残高は、GDP比で見て、GDP比の七〇%ぐらいだったものから一〇〇%を超えるところまでどんどん高まっていった。残念だけれども、バブルの時期を通して、銀行は貸し過ぎた。企業は借り過ぎた。その調整はやはりどうしても避けて通れない。その調整が長期に緩やかにまだ続いているという状況であろうかと思っております。
 しかし一方で、いろいろなアンケート調査等々を見ますと、企業から見た銀行の貸し出し態度等々、資金の需給等々は改善をしている、これも事実でございますので、そういった効果がしっかりと浸透していくように、引き続き、マクロ経済の運営と、そして、これは今私の担当じゃございませんが、銀行に対する適切な行政というのを行っていく必要があると思っております。
【小泉(俊)委員】
 竹中大臣は、就任当初、不良債権が減ってくれば、銀行が健全化をし企業に資金が回るということを、私は財務金融委員会でもさんざん、十五回ぐらいやらせていただいていますので、そういう答弁をしていたと思うんですが、しかし、現実には、四年たったわけでありますが、不良債権は減ったけれども一向に実体経済には資金が回らない現状なんですね。金回りというのは、やはり資金の量も必要なんですね。そこで、私は、この銀行の貸出残高の推移を見ると、結果から見て、小泉改革というのはやはり景気回復に関しては貢献をしていなかったということを明確に指摘しておきたいと思います。
 次に、資料の四であります。
 これは、国債の発行残高の数字であります。この真ん中に、二〇〇一年三月末現在、このときに三百八十兆円ですね。これは、小泉さんが就任する前の年の、直前の数字なんですね。一番下を見てください。二〇〇四年九月末現在でありますが、何と五百八十六兆円。この小泉内閣の三年六カ月間で二百六兆円も国債の発行が増大をしているわけであります。
 当初、小泉総理大臣は、財政の健全化ということを掲げ、国債発行三十兆円枠というのを言ってきたわけでありますね。しかし、これは、財政再建の観点から見ても、この三年六カ月間で二百六兆円増加という観点から見れば、私はこの小泉改革というのは全く貢献をしていないと思うんですが、この点については、竹中大臣、いかがでしょうか。
【谷垣財務大臣】
 国債の方は私の担当でございますから。
 確かに、おっしゃるように、二〇〇一年末三百八十兆、それが五百八十六兆になっておりますのは事実でございます。それは、毎年毎年相当な借金を重ねておりますので、こういうふうになってきているわけですが、ただ、そういう毎年毎年国債を出す状況は相当改善してきたと思っております。
 国、地方の基礎的財政収支を見ますと、平成十四年度は五・五%の赤字でしたけれども、平成十七年度には四・〇%になっている。それから、これは私よく申し上げているんですが、この平成十七年度予算では、一般歳出は三年ぶりに圧縮した、それから国債発行高も四年ぶりに前年度より減少することができまして、国の基礎的財政収支も、平成十六年度に比べまして十七年度は三兆円余り圧縮することができまして、今十六兆ぐらいの赤字になっておりますので、私はこういう面ではかなり進んできたと思っております。
 ただ、やはり過去の蓄積、累積というものを払拭するまでに至っていないのは、委員のお示しの数字のとおりでございます。
【小泉(俊)委員】
 このデータの上から二つ目が、一九九八年三月末現在、二百七十三兆円になっていますね。この一九九八年から小泉総理が就任するまでの二〇〇一年三月末の三年間というのは、国債発行が三年間で百六兆円なんですよ。過去にさかのぼって在任期間中の国債の発行の増加テンポを見た場合に、実はこれほど国債を発行している総理というのはいないと思いますね。私はやはり、この国債の発行の増加テンポを見た場合に、財政再建という観点から見ても、この小泉内閣の約四年、全く貢献をしていなかったということを明確にその点も指摘しておきたいと思います。
 次に、資料の五をごらんいただきたいと思います。
 これは、今、谷垣大臣がおっしゃいました税収の推移であります。二〇〇一年、小泉さんが就任する前の予算でありますが、四十七兆九千四百八十一億円、これが二〇〇二年に四十三兆八千三百三十二億円に減りました。そして二〇〇三年には、税収が四十一兆七千八百六十億円なんですね。この数字自体は、決算も入っちゃっていますが、当初予算でいきますと二〇〇四年は四十一兆七千四百七十億円と、小泉総理になってから、このグラフだけ見ていただければわかるんですが、税収が下降をたどっているんですね。
 この点につきまして、私は、税収というのは国の財政の根本でありますので、これが減ってきているということは、この四年間の小泉内閣を見てみて、やはり税収の面から見ても政策効果がほとんどなかったんじゃないかと思うんですが、この点については、谷垣大臣。
〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
【谷垣財務大臣】
 先ほどから明確に指摘しておくと繰り返し、リフレインをおっしゃっておりますが、小泉内閣発足後、これは発足が平成十三年の四月ですが、それ以降の一般会計税収の推移は、十三年度決算では、さっき御指摘になったと思いますが、四十七・九兆、それが十五年度では四十三・三兆で、確かに四・七兆減少しているわけですね。このうち半分ぐらいは、定額郵貯の集中満期によりまして利子税収が一時的にはげ落ちた。これが約二・四兆はげ落ちたということになっております。そういう特殊要因が一つある。
 それから、十五年度改正で、国税分、これは要するに多年度レベニュー・ニュートラルというようなことで先行減税をITや何かでやりまして、一・五兆実施をしたということがありますので、こういった点をあわせ考えますと、この間の減収が失敗だったという御指摘は私は当たらないんじゃないかと思います。
 他方、十五年度以降の税収動向を申しますと、十五年度決算は四十三・三兆ですね。それから、十七年度が四十四・〇兆ということで、所得譲与税控除前では四十五・一兆と増加してきておりますので、私は、いろいろな努力の成果が税収面でも、もっともっと早く伸びてほしいですが、徐々にあらわれてきたと言えるんじゃないかと考えております。
【小泉(俊)委員】
 やはり、大臣、私は、数字というものはきちっと現実を見るべきだと思います。やはり小泉総理になってから税収は減少を続けているんです。今までどんな内閣だって大臣が言ったような事情はあるんですよ。それでもこれだけ税収が減少を続けているというのは、私はやはり、小泉改革が税収の面から見ると余り効果がなかったと言わざるを得ないと思います。
 特に、谷垣大臣、去年もことしも、ことしふえたといっても、実は、これを見ていただくと、せいぜい十八年前の一九八六年と同じ程度の税収しかないんですよ。これだけの経済規模になっていてこれだけしか税収がないというのは、私はやはり小泉改革の政策が税収の面からは効果がなかったともう一度明確に指摘をしておきたいと思うわけであります。
 次に、次の資料の六をごらんいただきたいと思います。
 これはGDPの推移です。下の暦年で見ていただきたいんですが、GDPの暦年の二〇〇一年、名目はマイナス一・一であります。また、二〇〇二年がマイナス一・六ですね。二〇〇三年がマイナス〇・一なんですね、名目で見ると。実質が左側に出ていますが、〇・二、マイナス〇・三、一・三。
 やはり、小泉改革のこの約四年間の政策を見ていまして、GDPの、経済成長率の面から見ても、ほとんど私は効果が出ていないのではないかと思うんですが、竹中大臣、いかがでございましょうか。
【竹中国務大臣】
 GDP、特に名目GDPに着目した御指摘をいただきましたけれども、当然のことでありますけれども、我々としては、実質的な、実体を高めるという意味での実質GDPを高め、同時に、なかなか厳しい状況にありましたデフレをしっかりと克服していく、この両方を実現することによって、名目GDPが上昇していくということを目指していくわけでございます。
 ここには二〇〇三年まででございますが、ちょうど昨日二〇〇四年の数字がQEで出まして、二〇〇四年の名目GDPは一・四%のプラスということに相なりました。実質GDPを高めて、そして同時にデフレを克服していく、これはなかなか委員御指摘のように厳しい作業ではあるわけですけれども、そういう方向にはようやく向かいつつあると思っておりますので、さらにこの数字がしっかりと結果的に高まるようにしていかなければいけないと思っております。
【小泉(俊)委員】
 竹中大臣、OECDの三十カ国、先進三十カ国を見ても、これほど四年も五年も経済成長が低いというのは日本だけだと思うんですね。私は、この四年間の小泉内閣の経済政策、やはりGDPの点から見ても政策効果がなかったと言わざるを得ないと思います。
 次に、資料の七をごらんいただきたいと思います。
 これは、OECDが世界の財政を比較するために国、地方の債務残高のGDP比を比較したものであります。このグラフを見ていただくと、もう日本だけ三十五度ぐらいでGDP比がどんどん悪化しているんですね。これは私はやはり厳粛に受けとめるべきだと思います、このデータを。これが現実なんですね。
 結論からいいますと、小泉改革というのは、先ほど株価を見てきました、あと金回りという点から景気を見てきました、税収を見てきました、財政の健全化という点も見てきましたし、債務残高のGDP比、これは結果から見ると、この四年間というのは、努力をされたのはわかるんですが、ほとんど効果がなく、ある意味でいうと、私は失敗だったと言わざるを得ないんじゃないかなということを明確にもう一度財務大臣も含めて指摘しておきたいと思います。
 そこで、これは過去の四年間だったんです。それでは、これからどうなるか。
 この前、「構造改革と経済財政の中期展望」二〇〇四年度版というのが出ましたね。この中に参考資料として「基本(改革進展)ケース」というのが書いてあります。これは当然、この中期展望の議論の前提でありますので、非常に大切なデータなんですね。
 資料の八をごらんいただきたいと思います。
 ところが、この資料の八を見ますと、二〇〇五年から二〇〇九年までの五年間、まず一番上の実質成長率を見ていただきたいんですが、二〇〇五年度一・六、二〇〇六年度一・五、二〇〇七年度一・五、二〇〇八年度一・六、二〇〇九年度一・五と非常に低成長なんですよ。
 ところが、これほどの低成長であるにもかかわらず、ちょっと下に行きますが、完全失業率はどういうわけか四・六から五年後には三・六に減っているんですね。そして、これほどの低成長であるにもかかわらず、消費者物価が、来年、二〇〇五年度が〇・一、何と五年後が二・三まで急激にはね上がっているわけですよ。次のページに税収も出ていますが、谷垣大臣、来年四十四兆だったのが五年後には五十三兆六千億という、税収まで何か急激にふえるデータが出ているわけでありますよ。
 しかし、この程度の低成長で、失業率が急激に下がって、物価が上がり出して、税収がふえるというのは、私はおかしいんじゃないかと思うんですが、竹中大臣、この点についてはいかがでしょうか。
【竹中国務大臣】
 小泉委員からは、大変、効果が上がっていないという厳しい御指摘をずっといただいておりますが、この御指摘は御指摘としてしっかりと受けとめますが、同時に、全体としてはよい方向に向かっているという点についても、ぜひ、これは委員御専門家でいらっしゃいますけれども、御認識をいただきたいと思います。
 その上で、資料八の数字でございます。
 まず、実質成長率が低い。これは、高いか低いかというのはいろいろな評価があると思いますが、残念ながら、日本の潜在成長力というのは、今のところ中期的にはこのぐらいであるというふうに認めざるを得ないのだと思います。これを規制改革等、民営化等々、改革を通してさらに高めていくということは、構造改革の重要な使命だと思います。
 その上で、この程度の成長率で失業率が下がってくるのはなぜなのかということでございますが、これはモデル計算ですからいろいろな要素が複雑には絡まりますが、基本的な要因は、この間、人口が減って労働市場が小さくなってくるからです。生産年齢人口は今でも毎年三十万程度小さくなっているわけですから、労働者の数が少なくなってくる。ある程度の成長のもとでは失業率が下がっていくということは、これは可能なわけでございます。
 もう一つ、価格でありますけれども、価格については、これまた、今、日銀は一生懸命ベースマネーをふやしている、それがマネーサプライの増加になかなか結びつかない。しかし、金融市場の改革等々でいわゆる貨幣乗数が次第に高まって、それでマネーサプライもふえていく、そういうような状況の中でデフレが緩やかに克服されていくというシナリオを我々は描いているわけでございます。
 結果的に、名目GDPがそのようになる中で、税収についてもここに書かれているような計測を我々は行っているわけでございますので、今のシナリオをぜひ実現していきたいというふうに思っております。
【小泉(俊)委員】
 実は、参考資料というのは政策の基礎ですから、物すごく大切なんですね。ただし、この参考資料の試算というのは、まず為替が一定なんですね。為替レートの変動の影響がまず入っていないということと、もう一点、実は、日本だけのモデルで実施して、日本の経済発展が外国に好影響や悪い影響を与えてそれが日本経済に戻ってくるという、いわゆるブーメラン効果というのも入っていないんですね。今、世界の予測モデルでこういうモデルを使っているのは日本だけなんですよね。やはり、私は、この参考資料の試算というのは国際的に通用するモデルを使ってやっていただきたいと竹中大臣に言っておきたいと思います。
 次に、資料の十二、ちょっと飛びますが、これは実は改革をしないとこうなるよという参考資料なんです。「「非改革・停滞ケース」の計数表」であります。
 ここに驚くべき数字が出ています。名目金利を見てください。何と、二〇〇五年度一・六なのが、もし小泉改革をしていかなかった場合、二〇〇九年度には八・八%に名目金利がなりますというデータが載っているんですね。こんな急上昇は、どうも聞きましたら一九九〇年代のイタリアを参考にしているそうでありますが、余りにも非常識な数字だと私は思うんですが、竹中大臣、この点についてはいかがでしょうか。
【竹中国務大臣】
 参考として我々が試算したものでございますから、数字の評価も含めて、ぜひそこはもちろん御議論をいただきたいところでございます。
 ただ、この中でのシナリオでぜひ御理解をいただきたいのは、恐らく委員の御指摘は、これは中央銀行、日本銀行という存在があるんだから、そこでマネーをコントロールすることによって物価の上昇、金利をある程度コントロールすることができるのではないのか。そこはもうそのとおりでございます。もちろんそういう役割を、私たち、日本銀行に期待するわけでもございます。
 しかし、国債の残高が非常に高まって、国債に対するリスクというのを投資家が非常に高く見積もるような状況、ある臨界点を超えると、そういう危険というのはあるわけですけれども、イタリアでまさにそういうことが起こったわけでございますが、そういう場合があり得るんだと。そうなると、これは幾ら日銀が、中央銀行が頑張っても、物価を簡単に操作することはできない。そういうことを経験した国というのは幾つかあるわけでございますので、そういうシナリオを想定して、もちろんそうならないように運営しなければいけないという意味でここに提起させていただいておりますけれども、そういう場合の想定であるという御理解をいただきたいと思います。
【小泉(俊)委員】
 委員 日銀が今ゼロ金利政策をとっているわけですね。なおかつ、日本の金融市場の規模というのは、アメリカに次ぐ規模であります。この日本において、私は、金利がこれほど、八・八まで上がるという異常なことというのは、余りにも架空の数字過ぎて、ためにする、小泉改革をよく見せて、しないとこう悪くなりますよといった、余りにもためにするものだと思いますね。やはり、私は、こういったデータというものは、内外からの検証にもたえるように、ぜひとも国際的に通用する世界モデル、これはあるわけですよ、日本でも日本人が開発して国際機関で使われているものがあるわけですから、世界的に通用するモデルで常識的な数字を出していただきたいと思います。
 そして、それではこれからどういう対策をしていくべきなのかということが一番大切なわけでありますが、前提として、竹中大臣にお聞きしたいと思います。
 先ほどの七の資料に戻っていただきたいんですが、これは、OECDの国、地方の債務残高のGDP比です。日本は借金が多い多いと言われておりますが、私は、このOECDのデータを見てもわかりますように、一番大切なのは、債務残高のGDP比こそ、これから政策運営で注意していかなければならない最も重要なポイントであると思うんですが、竹中大臣、この点はいかがですか。
【竹中国務大臣】
 GDPに対する公債の残高をある程度以上にならないように、これがどこまでもどこまでも上昇していくような状況を絶対に食いとめなければいけない。その意味で、委員がおっしゃっているような公債の残高のGDP比をしっかりと見るというのは、これは全く必要なことであると思っています。
 実は、私たち、基礎的財政収支、プライマリーバランスを回復するということを当面の目標にしておりますけれども、これはまさに、プライマリーバランスを回復すれば、安定的なマクロ経済状況のもとでは公債の残高のGDP比を一定以下にすることができる、そういういわゆるドーマーのルールというのがあるわけでございますけれども、それに基づいて、我々は、基礎的財政収支を何とか均衡させようというふうにしているわけです。その意味では、まさに委員おっしゃったように、公債残高のGDP比に着目をしてしっかりと今政策を行っている、私たちの姿勢はそういうことでございます。
 むしろ、最近の議論としては、本当にそれだけで十分なのか、それを最低限実現しなければいけないけれども、さらに加えて、国債残高そのものを見なきゃいけないのではないか、専門家の間ではそういう議論が広がっているというふうに承知をしております。
【小泉(俊)委員】
 日本の、これだけの経済規模を持ちながら、非常に海外の格付が厳しくなっている、ソブリンの、国債の。これは、この債務残高のGDP比、これが余りにも突出しているのが大きな理由になっておりますので、大臣、やはりこれを当面政策の眼目に置いていかなければならないと私は思います。
 そこで、この債務のGDP比が極めて重要だという観点から見た場合に、日本とアメリカの経済政策の違いについて大臣にお伺いしたいんですが、アメリカのブッシュ大統領は、二〇〇四年度、約三十兆円程度の減税と五兆円の軍事費をふやしたんですね。それなのに、債務のGDP比というのは、OECDのこの発表データによりますと、アメリカは六二・八%から六四・一%にふえた、たった一・三%ふえただけなんですね。では、一方、日本はどうかといいますと、財政規模をふやさなかったんですよね。それにもかかわらず、このOECDのデータによりますと、債務のGDP比は一五七・三%から一六三・四%と、何と六・一%も増加しちゃったんですね。
 一方で、アメリカは、減税とか歳出を増加して積極財政をとったのにGDP比は一・三%しかふえずに、日本は、財政規模をふやさなかったのに逆に債務のGDP比が六・一%もふえてしまう。これは、大臣、どうしてだと思われますでしょうか。
【竹中国務大臣】
 それはひとえに、ベースとしての財政赤字がどのぐらい大きいか、当然それに依存しているのだと思います。
 財政赤字の額が同じであっても、日本のように、GDP比で、プライマリーバランスで見て四%、五%、実際には六%とか、それだけの国債を毎年出していくと、その分ストックとしては上に積んでいくわけですから、これは、当然のことながらこういう数字になるわけでございます。
 これを上げないようにしようと思ったら、いきなり国債発行額をゼロにするしかないわけで、しかし、それは経済に余りにブレーキがかかる。そういうことはやはりできない。したがって、我慢強く少しずつ少しずつ基礎的財政収支を均衡に向かわせしめるしか方法はないわけで、一度大きな財政赤字をつくってしまうと、その後その回復のためには非常に辛抱強く時間がかかるんだということを、まさに日本の例は示しているんだと思います。
【小泉(俊)委員】
 竹中大臣が言っている見方も一面にあると思います。
 しかし、日米の債務残高のGDP比がこれほど大きく違った最大の理由というのは、アメリカは、減税したんですが、所得税が八千九十億ドル、一・九%、法人税が千八百九十四億ドル、四三・七%も実は税収が伸びているんですよ、大きく。もう一つ、アメリカの名目GDPが六・六%も伸びているんですね。要するに、GDPが伸びているために相対的に債務残高が減っているんですよ。一方、日本を見ますと、先ほど資料でお示ししたように、不景気で税収が年々減っていますね。なおかつ、GDPの伸びが乏しい、低いんですね。ですから、これだけの差が出ちゃうんですね。この米国の、アメリカの政策から見てわかることは、債務のGDP比を減らすためにはやはりGDPの伸びが大切だということだと思います。
 そこで、参考資料の十四をごらんいただきたいと思います。
 これは、実は、国土交通省の国土技術政策総合研究所というところが出しました、何かといいますと、名目の経済成長率が伸びた場合、公債残高のGDP比にどういう影響を与えるかというグラフなんです。これを見ていただくと、名目成長率が一・五%の場合には減っていかないんですね。ところが、一番下の名目成長率が三%になりますと急激に減っていきます、長期的に見ますと。ですから、やはり、このデータからもわかりますし、またアメリカの経済政策の結果からもわかりますし、GDPを伸ばすことが非常に大切だということがわかると思います。
 しかし、資料八を見ていただくと、先ほどの、竹中さんがお出しになられています参考資料の改革進展ケースですよ、小泉改革をしていった場合こうなりますよという、よくなる方のデータなんですが、一番下を見ていただくと、名目GDP比、二〇〇五年度、来年が一四二・三、二〇〇九年度でも一四七・七という、向こう五年間を見ても債務のGDP比が全然減っていかないんですね。
 つまり、過去の四年間を見てもそうだったですし、これから向こう五年間を見ても、小泉改革では、先ほど竹中大臣もお話ししましたように、私も指摘しましたように、債務のGDP比というのは非常に政策が重要なんですが、小泉改革では結局これがなかなか減っていかないということが、現実のデータで裏づけることができるんじゃないかということを、私は明確に指摘しておきたいと思います。
 それでは、しからばどういう政策をとるべきかということであります。十五の資料を見ていただきたいと思います。
 これは、計量経済学の専門家の先生が、今検討されている増税政策と、逆に減税政策を行うという二つの政策をとった場合、これから日本の経済が一体どうなっていくかというシミュレーションをしたレポートであります。ここに使ったモデルは、フジグローバルモデリングシステムという、ノーベル経済学賞に三度最終選考まで残った大西昭先生が開発した、かなり国連でも使われていまして、まさに世界モデルなんですね。
 これで見ていただきたいんですけれども、この資料の十五、増税シナリオはどういうものを描いているかといいますと、二〇〇五年度から定率減税を半減します、二〇〇六年度から全廃します。また、二〇〇七年度から一応消費税を一〇パーに上げるというシナリオにしています。減税のシナリオはどういうものかというと、二〇〇六年度から法人税と個人所得税をそれぞれ五兆円ずつ減税をします。トータル十兆ですよね。消費税をそのかわり二〇〇六年から二〇〇八年にかけて毎年一%引き上げ、それ以降八%で固定するというものなんです。
 この世界モデルで検討してみた場合、次のページ、二ページ目をめくっていただきたいんですが、これが実質GDPの伸びであります。これを見ていただくと、二〇一五年までの十年間で実質的GDPの伸びを比較しますと、実は減税シナリオが増税シナリオの二・五倍なんですね。図二が名目GDPであります。これも減税シナリオの方がやはり成長性が高いんですよね。これは、財政が厳しいときに減税すると国の借金はかえってふえるというふうに普通考えられるんですが、実際、世界モデルで計算してみますと、どうやら逆の結果になってくる。そして図三でありますが、これは、先ほど一番重要だと言っている債務の名目GDP比であります。これは減税シナリオですと二〇一五年のときに急激に下がってくるんですね。
 実は、この結果というのは、今世界的に使われています、このフジグローバルモデリングシステムだけじゃなくて、経済企画庁の審議官をされていました、やはり計量経済学の専門家であります宍戸駿太郎先生のDEMIOSという開発したものもそうですし、日本経済新聞の使っている日経NEEDSのモデルを使っても大体同じ結論が出るわけですよ。そして、図四を見ると、プライマリーバランスもはるかに減税シナリオの方がやはりよくなっているんですね。
 こういった結果を見て、竹中大臣、これについてはどのように思われますでしょうか。
【竹中国務大臣】
 私も、かつて世界モデルをつくっていろいろ論文を書かせていただいたことがありますので、これについてしっかりと、ぜひ、モデルがどのようなストラクチャーになっているかということは、御提起をいただきましたので勉強をしたいと思います。
 ただ、一般的に言いますと、減税をしてそれによって財政がむしろよくなるというのは、これは二つのケースだと思います。一つは、需要が一時的に停滞している場合。これはあり得ることだと思います。しかし、日本は需要が一時的に停滞しているんでしょうか。そういう状況が十何年も続いてきたんでしょうか。それではない。もう一つのケースは、減税することによって潜在成長力が画期的に高まるような場合。この場合も理屈の上ではあることだと思います。ここでは、大西先生の姿がそのようになっているかどうかというのはぜひ検証したいと思います。
 ただ、小泉委員、一つ、印象ですけれども、ここの二ページ目をごらんいただきたいと思いますが、二ページ目で、名目GDPの推移がありますが、これは二〇一〇年から二〇一一年にかけて、どっちの場合も二〇%、一年で二〇%名目GDPが高まるというシナリオになっています。こんな打ち出の小づちがあるんだったらぜひ使わせていただきたいと思います。これはやはり、モデルはモデルですからしっかりと検証しなきゃいけませんが、ちょっと無理があるのではないでしょうか。
【小泉(俊)委員】
 竹中大臣、私は、アメリカの経済政策が実は計量経済学に基づいてやられていると思います。あれは、意味もなく減税政策をレーガン政権そしてブッシュ政権がとっているわけじゃないんですよね。
 ですから、今大臣おっしゃったように、いろいろなシミュレーションを闘わせたり、せっかく、内閣府の経済社会研究所ですか、最近つくられたのがありますね。あの中でやはりもっと予算をあそこにつけてしっかりとそういった交流を進めたり、よりレベルの高いものを竹中大臣にやっていただくように、ぜひとも、しっかりとした基礎データで議論を詰めないと、ためにするデータを出すというのはもうやめにしないといけないと私は思いますので、それをよろしくお願いしたいと思います。
 そしてまた、増税政策をこれから谷垣大臣はされようとしていますが、私はこれはかなりリスクの高いものだと思いますので、やはりこのデータを勉強していただいて、竹中大臣ともども、いろいろな政策の参考に、日本でもすばらしい先生はたくさんおりますので、ぜひともその点をよろしくお願いしたいと思います。
 時間がなくなりましたので次に進みますが、次に食糧危機時の対応についてということで、農水大臣にお尋ねしたいと思います。
 私は、小泉内閣の一つの問題点は、国民の生命に直結する食糧の問題に余り熱心じゃないことがあるんじゃないかと思っておるわけであります。
 谷垣大臣と竹中大臣、どうぞ御退席していただいて結構でございます。
 それで、資料の十六をごらんいただきたいと思います。
 これは、念のために配っているんですが、日本の穀物自給率のデータであります。これを見るとわかるんですが、順位も振ってありますけれども、穀物自給率を二〇〇一年で見ると何と二四%、世界じゅうの中で下から七番目です。実は、パプアニューギニア、イスラエル、リビア、レバノン、コスタリカ、キューバ、日本なんですね。もちろん、先進国中、断トツの最下位でありますよ。あの北朝鮮ですら六八%の穀物自給率です。
 ところで、世界じゅうで輸出に回る食糧というものは世界の年間生産量の約七%から一割と言われていますね。それも、アメリカ、フランス、アルゼンチン、カナダ、オーストラリア、ドイツという六カ国、たった六つの国に七割も依存しているわけであります。
 それで、二〇〇二年の農林水産物の輸入を見ますと、日本は年間約七兆円以上をずっと輸入していまして、世界最大の輸入大国ですね。ところが、現に世界の穀物生産量というのは干ばつによってここ年々減少してきているんです。二〇〇二年は、アメリカがマイナス八%、カナダがマイナス一八%、オーストラリアがマイナス五五%も生産量が減少しました。そして二〇〇三年は、ヨーロッパが干ばつによって小麦が約三割も減産したわけですね。要するに、世界的規模での天候異変や気象条件を考えると、干ばつにより穀物などの生産が激減して輸入が激減する可能性もあると思うんですが、特に、これは資料の十七をちょっとごらんいただくと、日本は食糧の二六%をアメリカに頼っています。そしてまた、中国に一三・二%を頼っているんですね。
 そこでお聞きしますが、中国とアメリカの農業生産について、また問題点等については、大臣はどのようにお考えでしょうか。
【島村農林水産大臣】
 お答えいたします。
 御指摘のとおり、我が国は、いわば食糧の自給率、カロリーベースでも四〇%、穀物に至っては二八%ぐらいでございます。
 そういう中で、最近の情報として我々が非常に重視しておるのは中国の穀物生産の動向でありまして、中国が経済発展が続く中で、農地転用の増加などによる耕地面積の減少、あるいは農産物価格の低迷による作付面積の減少、あるいは穀物から野菜、果実等の換金作物への転換等によりまして、二〇〇〇年以降、穀物の生産水準が非常に低下してきているということ、一方、食糧消費は質的、量的にも向上していることから、食糧の供給不足傾向が顕在化しておりまして、この結果、大豆、小麦等の輸入が急増して、二〇〇四年には農産物純輸入国に転じると見られております。
 この辺は我々は、相手の人口が非常に大きいことと、消費量もどんどん、当然のことでありますから、かなりの関心を持っておりますし、世界の穀物その他のいわば供給能力にもいろいろな影響が出てまいりますので、かなり深刻に受けとめているところであります。
 アメリカにつきましては、また後の質問に何か関連があるようでございますから。
【小泉(俊)委員】
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので一緒に聞いてしまったわけでありますが、私は、実は、アメリカの南部の農業生産地域も見てまいりましたし、昨年の九月、吉林省と黒竜江省も農業視察に行ってまいりました。
 その中で、やはり今、中国もアメリカも、最大の弱点は水です。特に中国におきましては、国土の三割が荒漠化をし、毎年一万平米砂漠化していくんですね。黄河ですら実は干上がってしまっている。それで、農業の水をどこからとっているかというと、実は七割を降雨に頼っているんですよ。食糧生産基地の黒竜江省と吉林省ですらそのありさまですからね。これは、もし今の天候異変で降雨が少なくなった場合には、一瞬にして実は食糧不足が中国は起きます。そうしますと、穀物が急騰しまして日本には非常に大きな影響を与えます。これは、またアメリカもそうです。アメリカもやはり弱点は水ですね。あれはほとんど、かんがい農業、地下水に頼っていまして、この地下水が減少、枯渇化し始めています。
 ですから、日本は、余りにもアメリカとか中国に穀物、食糧の依存をしますと、極めて危険性が高い。その点で、やはり私は、穀物、食糧の自給率というものをしっかりまず高めていかなければならないと思っています。
 その中で、これは、食べ物がなくなったらどうなるかというのを、農水省が非常にいいパンフレット、ほとんどの国会の先生は見ていないと思いますが、配っていますからね。これは実は結構しっかりできています。
 ただし、この中の六ページをごらんいただきたいんですが、レベル0、レベル1、レベル2になっているんですが、まず、農産物の備蓄です。
 これは今、米が百万トン備蓄していますね。大豆が五万トン、備蓄飼料穀物が百万トン、小麦が百万トンですか。ただ、昭和四十八年の大豆の禁輸のとき、七十三日間、あれは輸出制限されました。あのときニクソン大統領が何を言ったかといいますと、自国と海外を考えた場合に、やはり自分の国民を守らなければいけないということで、輸出制限したんですよね。これはいつでも起こる可能性が実はあるんです。
 私は、この備蓄では米なら一・五カ月分ですが、すべて、考えますと、パナマの喫水制限のときに百十日、大体これは制限されたんですね、やはり三カ月ぐらいは備蓄規模を持たないとまずいと思うんですが、この点について、大臣いかがですか。
【島村農林水産大臣】
 私どもは食糧の安定供給という重要な責務を担っておりますので、備蓄をたくさんしていただければ、これに過ぐる幸せはないわけです。しかし、備蓄備蓄で今まで我々の負担した財政負担、大変大きいものがございまして、もし御質問ならば質問にお答えしますけれども、いろいろ、かつての食管会計の実情等を思い起こしますと、やはりぎりぎりの備蓄ということに考えざるを得ない。そういうことからいたしますと、今の状況が我々にとって安心し切れた状況ではございませんけれども、私は今、ある意味ではあなたと同じ考えに立っているところであります。
 ただ、国際的な環境で申しますと、私、前の農林水産大臣のときに、ぎりぎりに飛び込んでいったOECDの閣僚会議で、何と驚くなかれ、ケアンズ・グループという大農業生産国がみんなで結託して、今やボーダーレスの時代、いわば国際分業の時代なのだから農産物は我々に任せろ、それで、みんなで二年前に決めた食糧の自給率を全く無視した決議をしようとした。私はこれに反駁をいたしまして、あなた方は今まで歴史的に供給責任を負ったという実績があるのか、ないではないかと。一九七三年の例を引いて、あなた方は例えば穀物の自給に対しては非常に割り切った姿勢をとられた、ある意味では当然かもしらぬけれども、そういう歴史を顧みたときに、我々のような小農業生産国は、これに、はいわかりましたと言うわけにいかぬのだというので、いわば大勢を覆した記憶がございます。
 世界はそのぐらいみんなドライでありますから、また一方ではそういう強圧的な姿勢がある意味では仕組まれてもいるわけですから、これからのいわば備蓄に対する国家の姿勢というのは、相当将来的な視野、あるいはいかなる事態にも対応し得るものを考えざるを得ない。ある意味で、そういう御指摘をいただいたことを大変うれしく思います。
【小泉(俊)委員】
 大臣、この備蓄の基準になった、気候とか天候異変というのはこの後に私は起きていると思うんですね。やはり、客観的状況が、これだけ世界じゅうの天候異変が起きているときには、例えば民間のPFIを使って備蓄倉庫をつくっていくとか、いろいろなやり方が、私は知恵を出せばあると思いますので、お金で人の命は買えませんよ、大臣。ですから、やはりしっかりと備蓄に関してはもう一度見直しをしていただきたいと思います。
 そして、もう一個、この資料を見ますと、実は、輸入の多角化を図りますと書いてあるんですね。ただし、本当に世界じゅうの天候異変で食物がなくなったときには、これは難しいです。やはり、食糧の自給率を高めることが一番だと思いますね。ところが、我が国の農業者数を見ますと、八〇年、六百九十七万人から二〇〇三年、三百六十八万人、約半分になっちゃっているんですね。農地を見ても、八〇年の五百四十六万ヘクタールから二〇〇三年の四百七十四万ヘクタールに減少しちゃっている。実は逆なんですよ、やっていることが。
 その中で、一つお尋ねいたします。
 昨年の十月一日、農水省は、補助金の対象農家を平均年収五百三十万円以上とする基準案を出されました。米でいうと十ヘクタール、畑で二十五ヘクタール以上。これは、流通業や製造業などの平均所得を目安にした案だと言われています。これでいくと約四十万戸ぐらいの人たちが対象になるんじゃないかという試算があるみたいですが、しかし大臣、土地と気候などに左右されて食糧危機時には幾らお金を出しても買えない農業と、二十四時間無限につくれてお金を出せば大体世界じゅうどこからでも調達できる製造業と、その生産性を比較すること自体が私は間違っているんじゃないかと思うんですが、農水大臣、いかがですか。
【島村農林水産大臣】
 御承知のように、日本の国は国土が極端に狭くて、農家一戸当たりの面積というのは、耕地面積一・五ヘクタールぐらい。例えば豪州などは四千ヘクタールですから、二千七百七十六倍なんですね。こういうことで比較しますと、自給率もさることながら、いわば国家間の比較においては農業の背景がまるっきり違う、こういうことでございます。
 そういう中でも、やはり農業は農産物を生産するだけでなくて、国土の保全とか自然環境の保護とか、各地域を守っていただくためには農民が定着し地域を守ることが、これは農業から林業、水産業、すべての関連の中で必要なわけでありますので、今御指摘の点は私は大変ごもっともなんだろうと思います。
 ただし、この劣悪な条件の中で農業をやっていくとなると、いわば生産性の面からいいますと、とても国際比較の対象にはなりません。そこをどう考えるか、まさにこれは哲学の問われるところでありますけれども、私たちは、少なくも、将来に向かって農業を魅力ある産業として安定的に従事していただくためには、やはり農業によって他産業並みの所得を上げる経営を目標とすることが適当である、目標ですよ、目標とすることが適当である、こう考えております。しかし、現状におきましては、農業から得られる所得が極めて低い農家が多数存在しておりまして、このままの状況が続けば、需要に応じた農産物の供給の面でも、農業の持続性の面でも懸念がある、そう考えておるところであります。
 今、五百三十万円の御指摘がありましたけれども、これは年間所得が五百三十万円といういわば他産業並みの労働時間による計算をしたところでありますが、これはあくまで試算でありまして、このような所得水準が直接担い手の要件となるわけではありません。あくまで弾力的に、将来を見据えて考えていきたい、そう考えております。
【小泉(俊)委員】
 大臣、ただ、新聞発表で、平均農家年収五百三十万以上じゃないと補助金を出さないというと、これは農家、平均四百七十万円ぐらいですから、みんなつぶれちゃうんですよ。だから、やはり、私たち民主党は、自給率の向上に寄与する農家を直接支払い制度によって守るために、米だったら例えば百七十五万戸、畑作だったら二十五万戸、約二百万戸にこういった制度を実施すべきだと。なぜかというと、この世界的な天候異変と、食糧の自給率を高めるためには、やはり農家を守っていかなければならないからなんですね。ぜひとも、この提案を真摯に受けとめていただきたいと思います。
 時間がなくなりましたので、中山文科大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今、小泉改革の最大の問題は、やはり私は、人づくり、教育を軽視しちゃっている点にあると思います。その中で、昨年、文部科学委員会に私は質問に立たせていただきまして、やはり日本人の背骨に当たる歴史、文化、伝統をしっかり守っていかなければならないという観点から、時の河村文部大臣に質問させていただきまして、小中高のカリキュラムにお茶とお花を取り入れてほしいということをお願いしました。また、全国の公立図書館に子供たちの使っている教科書をすべて配置してほしいということをお願いしました。また、小中学校の教壇に、危機を乗り越えた経験のある政治家、財界人、官界などのOBをもっと立ちやすくするようにお願いしたところ、この三つ全部取り入れられまして、ことし四月から実施されるようになったわけであります。
 大臣、最近の犯罪の増加、いじめ、そしてまた子供たちが被害者になったり、大変な状況ですね。私はやはり、もう一つ、あと礼儀を身につけさせる観点からも、ぜひとも小学校、中学校のカリキュラムに護身術や柔道、剣道、空手、合気道とか、そういう武道をカリキュラムに入れて体と精神を鍛えるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
【中山文部科学大臣】
 教育に関しましていろいろ御提言いただいておりまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
 私も大臣になりまして、武道が一体どれぐらい、あれは必須選択になっているんですけれども、今やられているかということをすぐ調べさせたわけでございますが、かなりそれぞれの地域でやっているということはわかるわけですけれども、もっともっとこれはやっていかにゃいかぬな、こう思っております。
 実は、私自身が若いころから合気道と空手をやっておりまして、合気道は三段、空手は六段、かなり名誉的な水膨れもしておりますが、やはり学んでいてよかったなと。特に護身術とか、そういった意味から女性の人たちもやってもらいたいと思いますし、特に、これから国際社会でいろいろなところに出ていく場合に、日本の人は何か武道をたしなんでいるぞ、下手に手出しをしちゃ危ないぞというぐらいの、そういったイメージを持たせるのは非常に大事じゃないか、こう思います。
 武道を学ぶことによって、やはり相手に対するいたわりだとか礼儀とか、そういったものも学ぶことができるんじゃないかということで、今後一層推進していきたい、こういう結論でございます。
【小泉(俊)委員】
 茨城の水戸学の藤田東湖が残した言葉に、文武分かれずという言葉があるんですね。やはり心と体、精神を両方鍛えるということですね。大臣、経験者ですから、ぜひとも積極的に推し進めていただきたいと思います。
 最後に、実は女子大生の中には、今、たくあんが木になっていると思っていたり、お米をとぐときに洗剤を入れちゃう子がいるんですよ。それどころか、笑えない話ですが、実は、ある定年退職された方が家庭菜園で大根を植えようとして、大根の長さが五十センチあるので穴を五十センチ掘って種を植えているという人もいるんですよ。これは実は子供のことを笑えない状態なんですよ。
 そこで、やはり、私は先ほど農水大臣に話しましたように、食というのはすごく大切なんです。ですから、もう一度私は、文部大臣、小学校、中学校、高校、また大学の一般教養も含めて、農業体験学習をやはりしっかりとカリキュラムに取り入れるべきだと思うんですが、最後の質問ですのでよろしくお願いします。
【中山文部科学大臣】
 まさに大賛成でございまして、ぜひそういう自然体験、農業体験等を進めたいと思っていますが、現に今、現行の学習指導要領におきましても、総合的な学習の時間とか特別活動で体験的な学習、勤労生産・奉仕的行事などが位置づけられておりまして、十五年度の抽出調査によりますと、小学校の七九・二%、中学校の二七・八%で農業体験学習が実施されているということでございます。
 もっともっと、これは本当に小学校から大学まで、自然体験、生活体験といいますか、そういったことを積ませていくということが本当に大事だな、子供たちよ、外に出ろ、外に出て汗をかけ、そういったことも訴えていきたい、このように思っております。
【小泉(俊)委員】
 私の出身の茨城県も全面的に受け入れますから、大臣、進めてくださいね。よろしくお願いします。
 終わります。
戻る
Copyright ©2002 - 日本経済復活の会(Association for Japanese Economic Recovery). All rights reserved.