日本経済復活の会
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政府との質疑応答
2003年2月28日
予算委員会 代表質問
次に西村慎吾君。
 はい、議長。
西村君
 お願いします。
 塩川大臣、私は今の小泉内閣の閣僚の中で一番安定感があるお方だと思っております。それはですね、コモンセンスがおありだと、それで私は一番この地元でも塩川大臣がほんとにこう言ったんだと、日本経済活性は閣僚が財政に責任をもつ閣僚がこういう戦略的発想を持つことだと言ってやる座談会でも盛んに申したのはですね、大臣が1ドル150円から160円程度が適正だとの認識を示されたことです。国民が今苦しんでおる、その国民は不当なハンディの中の経済、世界経済の中に組み込まれて苦しんでおるんだと、為政者としてはそのハンディを正すのだとレートを正さねば国民の汗と努力が雲散霧消するんだと、これが政府の見る視点だと思うんですね。大臣、前に私の記憶では1ドル150円から160円と言われましたがその根拠をお教えいただけましたらよろしくお願い致します。
塩川財務大臣
 私は何も為替をですね、150円だ160円にもっていくべきだとは言ってないんで、現在の、あの当時は122、3円でございましたでしょうか、これは購買力平価に比べて非常に高いではないかと申し上げたんです。これにつきましてはやはり市場が為替を決定するもんですから、これに対する人為的な介入というものは避けるべきであると、自由経済を振興しておる現在の、しかも日本が世界経済の中でいわばリーダーの一角を背負っておるんでございますから不当に為替を操作するということはよくないということでございますけれども、しかしいずれにしても購買力平価から言ったら、ちょっと円は高いんではないかと言うことを申し上げたんで、それじゃどれくらいの価格がホント購買力平価としていいかといったらいろいろとございますけど、格付け会社等が掲載しておるのによりますと、基礎はやはり150円前後ではなかろうかという数字が有る、ということを披露したのであって150円に強引にですね為替の相場を定着させていこうという、そういう意図で申したもので絶対無いということでご理解ください。
西村君
 私はやっぱりね、今ちょっと相場がおかしいというご認識は示されたわけですから、その際に逆プラザ合意的戦略的発想が為政者に必要だと、現実に1981年、プラザ合意によって円は2倍に引き上げられ、わが国の製品は一挙に2倍になったわけですから、こういうことで経緯していくのが国際マネーの戦略であり、さて、不当にわれわれが為替相場をいじくるということを控えるという前提からいたしましても、我々の国際環境の中に対外的な環境の中で円を不当にあげるという衝動、要因があるのではないかという問題意識をもっておりますので、次お教えいただきたいんですが、わが国は世界で一番金を貸している、他国に貸している国だと承っておりますが、その総額はいくらほどで、そしてドル建てがその中のどれくらいの額で、円建てで貸しているのがどれだけの額か、事務方からお教えいただければありがたいですが。
渡邊国際局長
 お答え申し上げます。最新の2001年末の時点で申し上げますと、我が国全体が海外にもっております資産の残高が379兆7810億円となっております。この外貨建て、あるいはドル建て、円貨建てという貨幣別の内訳というのは統計の性格上取っておりませんが、例えば今申し上げた379兆のうち直接投資の残高で申し上げますと、約39兆が直接投資でございますがこのうち18兆がアメリカ向けになっております。また証券投資との残高が総額で170兆強ございますが、このうち米国向けの物が64兆、従いまして今申し上げました2つの数字を足しますと83兆の物が米国向けということになっております。それからまたそれに加えまして貸し付け預金等もございますので、そういうものにつきましてその他の統計等でややラフに推計させていただきますと、持っております残高のうち5割強がドル建て、あと円貨建てが3割前後、その他の通貨が約2割ということで、多少のずれがあるかもしれませんので、ご容赦いただきたいと思いますが大体そんな感じではないかと思っております。
西村君
 巨大な債権のうち半分がドル建てであるということですが、我々がドルを借りて経済復興に励むという、一生懸命働いて製品を生み出さなければ円とドル、円が下がっていく、下がっていけばドルで返さなければならないわけですから、本来借りた時の値段よりも高く返さなければならない、それがですね金を借りる国の、返済する責務を負った国のやるべき事なんですね。さて、わが国はドルで貸しておる、それはどういうことになるんでしょうか。ドルでわが国から金を借りているアメリカは円が高くなってドルが安くなることが非常にそれだけで有利なんです。借りた金をですね、例えばプラザ合意のときに1ドル251円が1ドル121円になりました。日本からドル建てで借りている金はそのとき半分なくなった。アメリカ万々歳だと、こういうことでございますね。さてこういうからくりのある以上、大臣がおっしゃったように適正なドルと円のレートには変動相場制でならない、ならない要因はわが国自らが作っていると私は思いますが、大臣はいかが思います?というのは、我々はその多額の債権を円建てに転換する努力をすれば、円でわが国から借りております国は適正な円とドルとの交換比率に持っていかざるおえなくなるのではないかと、これはなにも操作したプラザ合意のようにやってるわけでもなんでもない、自国の通貨で他国に金を貸してくれといわれる他国に、金を貸すのはこれあたりまえのことなんです、わざわざ紙切れのドルで貸す必要は全くないんだということであります。海外債権は大臣が円とドルの交換比率のもたれる問題意識をにらんでもですね、円建てで切り替えるのが望ましいと、私は、国益に絡むと認識していますが大臣はいかがお考えでしょうか。
谷口財務副大臣
 西村委員のおっしゃったですねことは、まさにその通りだと思うわけで、為替変動リスクというのはですね、なるべく減少させなければならない、いろんな観点でそういえるんだろうと思うわけでございます。現状を見ますとですねわが国金融機関の対外債権残高は円建て比率で約30%、ドル建て比率は50%で推移をいたしているわけでございます。そんなことからですね、従来からわが国も非居住者のところでサムライ債だとかユーロ円債市場で頑張ってきたわけでありますけれども、こういう状況の中でですね、このような為替変動リスクを避けるという観点での、円建て取引の推進を図っていかなくてはならないということで、財務省でですね円の国際化推進研究会というものを作っておりまして、先日座長の取りまとめをいただきました。今回オンショア、オプショアといいましても、オプショアの取引についてはですね、市場参加者を拡充したり今までは金融機関だけでありましたけれどもこれを生損保だとか証券会社に広げたり、またこの取引をですね海外企業の発行しておる債券にも広げたり、またデリバティブ取引だとか、またわが国の国際取引だとかにも拡大してこれからよりいっそう円建て取引が拡大できるように推進をしていきたいと考えております。
西村君
 マネー戦略というのは本当に常識に根ざしておってですね、僕は常識が戦略になると思うんです。非常識な物は戦略になりません。後で振り返ってみたら、あら、やられたと、当たり前のことをやられたんだと、当たり前のことに、気づかなかったんだと、プラザ合意なんか、そうですよね。だから逆プラザ合意をやればいいんです。それは今、この不当な円とドルの比率、レートでですね、打撃を受けているわが国の巨大な産業のことを思えばドル建てのわが国対外債権の5割の何割かを免除してやると、だから円建てに賛同しろと、これから円で返せと、いう風な大胆な提案、これは言いまくってやれるもんではないんですから、迫力を持ってどうだということ、これが今の政治の責務でしょ、これによってわれわれの国の作り出す製品が適正な価格で世界の消費者に供給され、わが国が正当な収入を得るならば、これは政治の責務として取り組まなくてはならないのである。今、副大臣がおっしゃった事、いろいろ難しい事もありましたが、しかしその審議会でやるのではなく政治の決断でやると、逆プラザ合意をやっていただきたいというのが、私の言い分であります。
 さて、次の質問に行きますが、今消費が伸びない、消費が伸びないと言われておりますが、消費が伸びればデフレですから経済は生き返っていく。そのために構造改革したら経済が回復するという人もある、不良債権処理したら回復するという人もあると、これで2年間やってきた、結果は我々よりも一般国民が実感している通り。さて、消費が伸びない、伸びないといっているその消費はいかなる理由で増減しているのかというのを見るならば、政府統計から見て消費は可処分所得に一貫して正比例して増減しているという結果が表れている。消費性向はどういうことになっているのかとむしろ増加傾向にある、75.6%で増加傾向でココまで来てこの2、3年75.6%で横ばいになっている。ということは構造改革とかいろいろするよりも国民の可処分所得が伸びれば消費は確実に伸びるということではないのかと。単純なことであります。可処分所得が伸びれば消費は確実に伸びる。政府統計でもこのことが出ていると。ではいかにして可処分所得を伸ばせるか、政府にできることは何か、これは減税ではない、よく緊急事態で財政出動を政府がいたします。財政出動、これは国債であれ、税金であれ、国民からいただいた金を政府が財政出動で投入していくということでありますが、直接金融、間接金融のたとえで言いますならばこれは間接財政出動であります。間接財政出動というのはそもそも国民から引っ張らない、国民が汗水たらして働いた物は国民の懐に止めておいてくれと、これが直接財政出動だ。政府が介入しないから直接だ、減税ではありませんかと私は単純に常識からお聞きしたいので、常識でお答えいただければありがたい。
谷口財務副大臣
 今、西村先生が、冒頭前半おっしゃった事ですけれども消費性向のことをおっしゃったわけですが、基本的にですね、可処分所得と消費の動きというのはほぼ同じような動きにあるわけですが、最近の消費性向が上がっておるというのはむしろ消費性向のその算出の仕方が可処分所得分の消費ということになるわけですね。可処分所得のうちどれだけ消費に回ったかということになるわけで、これは好ましい事ではないわけでございますが、最近は可処分所得が減っておりまして、その一方でその消費が下方硬直性というか、なかなか生活必需品が惹きになっておりますから下がらないと、で最近は上がってるという事があるわけであります。減税かどうかということなんでありますが、将来価格が、まぁこれから年金改革等々とか行うわけでありますが、非常に急激な高齢化の中で将来の不安等がございましてなかなか減税した見入り分が消費に回らないということがあるわけで、そういうことを考えますとですね、基本的には我が国の構造改革を推し進めていく必要があるだろうと、雇用の面であるとか、歳出の面であるとか、規制の面であるとかこういうことを進めていきですね、民間需要を創出していくと言う様なことをやっていく必要があると、こういう観点から、このようなこんな事を考えていかなくてはいかんわけですが、そういう意味では必ずしもおっしゃるような減税の意味あいがあるんだろうと思いますが必ずしもそういうことではない。
西村君
 消費が伸びない伸びない、おっしゃった中にも理由が言われた、所得が減っているから、単純な話なんです。だから所得を伸ばせば消費が増えますかと私は聞いているんです。その通りであります。消費を伸ばすにはどうすればいいのかと、これがすれば財政が破綻するとかしないとかの議論は別にして、減税ですねというとるわけです。国民の懐に不当になんとか振興券みたいにやるわけじゃない、汗水流して働いた物を収入として入れてる、その収入をそのままお使いください。その消費は可処分所得の増加に比例してるじゃないですかと、可処分所得が増えたら消費が増えます。これ常識で聞いているわけです。さて、今財政のこととか将来の構造改革のこととか雲をつかむような事、雲をつかむような話で2年間やってきて結果が出てると私言ってる。結果は出てるんです。可処分所得が減ってきたんですから。そうでしょう?構造改革この2年で可処分所得が増えて、増えてるけれども将来不安で消費しませんよって言うのなら分かる。減ってるんですから。て言うことで次いきます。
 いろいろ減税するには私は財源が無い、財源を調達する。大臣、財源を調達する、これどうしたらいいのか。1つは税金取る、これ人間、国家がある以上骨身にしみてわかっとる。それからもう1つ国債を発行する。借金する。もう1つ大臣、財源を調達する方法がある、政府貨幣を発行するということです。これ、借金するもなんにするもいらん、ただ印刷局か何かまた金貨を鋳造したらよい。いまこそ政府貨幣を発行すべき年ではないか、この政府貨幣の発行をした事例は日本に以外にある。17世紀、荻原重秀、これは金貨の中に含まれる金の含有量を少なくして同じ金で1.5倍の通貨を発行したと。これで日本ははじめて貨幣経済の世界に入った。徳川吉宗の時代に新井白石の改革によってデフレに戻っていった。そこで吉宗もまた通貨を発行した。それから明治維新、太政官札を発行した。細かくいろんな藩の改革の中では山田方谷先生の書いたものでも同じことである。近年1932年、高橋是清は昭和7年、国債の日銀引受による通貨発行によって昭和恐慌から脱却した。また226でなくなられたんで、67年前のおとといなくなられたんでこの評価は戦争によって帳消しになっておりますが非常な決断と功績で有ります。国債を日銀引き受けにしてその分の通過を発行する、それだけなんです。借金が無くなって金の流通が民間にでるわけですから消費が増えて昭和恐慌から脱却する。この第3の道を今模索するべきではありませんかといっているわけです。先ほど可処分所得が増えれば消費が確実に増える、消費が増えればデフレから脱却できる、といっている訳です。よく今インフレターゲットとか言う、ああいうことがはやってる。あんまり軽々しく使ってはダメです。インフレターゲットという言葉自体はデフレからインフレに戻すということで、現在の最大の目的ではありませんか。それをインフレターゲット賛成論とか反対論とかで日銀で人事をしていると、妙な国だなぁと学者の世界じゃないんですから、政治家は頭で戦略を使って本当のご家庭の人たち、それから中学生にも分かる単純な事を決断していく。通貨を発行する事だ、通貨を発行してそれを財源として大減税をする事だ。それは可処分所得がそのまま民間の活力の中に留保されますからそれが使われる、使われればデフレから脱却だと、1%から2%のインフレターゲットと称するものが今問題になっているんならそれで全てが終わる。万々歳だ、ということになるんですが、第3の道というのはやはりどうお聞きしていいのかなぁ、どう思われます。
塩川財務大臣
 西村さんのおっしゃるのは、政府紙幣を発行しろというのと同じですね。これでですね貴重な経験があります。私は昭和18年中国に行っておりました。その時どんな貨幣があったかというと元がありました。元を中国政府が発行している、蒋介石政権、それから円があった、日本政府。チョビ券ってあった。これは北シナ派遣軍、中国軍の券、南京政府、3つあったんです。おっしゃるのはまさにですね、チョビ券なんですね、今おっしゃるのは。政府元というのは、するとどうかっていうとですね、チョビ券と日本の円との間では1対1.5と、そしてチョビ券と中国の元ですね、3対1とかそういう比率で交換した、ややっこしい事になってしまってわけ分からなくなってしまう。で、結局ですね、チョビ券、軍が発行している券がですね、3分の1くらいになってるんですね。こういう風になりますと経済が混乱が起こってきて結局そこの収集をどうするかと、そうしますと現在の円と政府券と2つ並列できたらそこをどう収集するんですか、そこを考えたうえでの理論に上げてほしい。
西村君
 大臣の体験された事態と現在の日本とは全然違います。巨大なデフレギャップはあります。世界最優秀の商品を生み出せる設備が眠っているんですよ。これを活性化するのがデフレからの脱却でしょ。それからいろいろな通貨を発行するとは私は申し上げておりません。政府が持っているセニアーリッジの特権を行使して、例えば50兆円の政府貨幣を発行の貨幣を、50兆円貨幣を1枚作って日銀に貸して、日銀はそれを担保にして日銀券を発行したらいいです。いろんなやり方あります。さてね、この1つのシュミレーション、小野盛司さんというシュミレーションがですねあるんですね。5年間毎年50兆円の減税を、50兆円減税5年間続ける、財源は国債発行による。これを日経新聞社のコンピューターのシュミレーションでやればインフレ率0.6%になる、それから驚くべき事に一挙に不況から脱却する。つまりGDPは28.0%増加し、民間設備投資は2.5倍、法人企業利益は3倍に激増する。失業率2.1%まで下がる、インフレ率は2.6%、日経平均は32000円に戻る。これをサミュエルソンに送って評価を求めればサミュエルソンはインフレ率は気にしなくて良い、需要を回復しデフレから脱却できれば良いのだ、こういう手紙がある。ペンシルバニア大学のこれもノーベル経済学賞のクライン教授も2%くらいのインフレ率が適当なのではないか、と経済状況が改善されるのは本当に良いことだと、こういう風な返事が返ってきたという事です。何故こういう政府を圧迫している財政借金の重みから解放されたのかといえば、今GDPと長期債務残高の対比の中で政府は苦しんでおる、苦しんでおるけれども政府がやっておるのは債務残高の分子を減らそうとしておる。分子を減らそう、借金を減らそうとしておる、借金減らそうとしておりますから、分母が減ってく、GDPが減っていってるんです。だからいつまでたっても比率がおんなじなんです。GDPを一挙に増やす、分母を増やす事を考えれば分子の増加など消してしまう、こういうシュミレーションがあるっていうこともですね、どうかご承知おきいただきたいなと。今あまりにも分子ばかりにかかわっている、しかし会社経営をしている人はもう当たり前な事です。10億円の借金をした人間で青くなってハアハアしているのは資産1億円しかない人、これ当たり前、1000億円持ってる人が10億円借金しようが500億円借金しようがへっちゃらなんだと、これ当たり前のことじゃないですか。わが国には巨大なデフレギャップが有ります。これが適正なレートで動き始めれば、本当にあと700兆、800兆のGDPを生み出す設備があるわけです。これを動かせといってる、つまり分母を広げましょうと、分母を広げる前に少々の借金はしますと、分子に上乗せしますとそんなことはへっちゃらだと、それくらいの経済の力はわが国にはあると、私は申し上げておるわけです。このセイニア―リッジの件についてはわが国だからこそできるんだと。今大臣の体験のですね、支那大陸のあの状況の中ではできない。これは麻薬ですからいったん政治がこんなことを覚えたらですね先ほどのご体験みたいになるわけですよ。日本もやった軍票、しかしならないデフレなんです。デフレでならない、インフレでもならない。ご感想でも。ご感想の前に。ご感想は胸にしまって置いてください。正田邸の問題にまいります。
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