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政府との質疑応答
2006年3月8日
予算委員会
秋元委員
 今日は私は財政再建とまだ与謝野大臣はご登場になりませんが、財政再建とデフレ脱却と、こういった観点からまずは質問をさせて頂きたいと思います。昨日、一昨日とこの委員会でも特にデフレということについては、大きくテーマとなりました。小泉総理も一刻も早いデフレ脱却を目指していかなければならないし、同時にそのためには、財政再建も必要だと、また合わせて名目GDPについても触れていらっしゃいましたけど、昨年我が党でも税制改正を議論させて頂く中に、まあ、今回定率減税についても色々議論させて頂きました。ただ与党として財政再建は絶対進めなければいかんという観点から今回の税制大綱となったわけではありますけれどもまず財務省にお伺いしたいのですが、与党として余り増税と言いたくありませんので、敢えて家計の負担増と言わせて頂きますけども、今回家計が結果的に負担増となった目的とですね、そして今回の税の部分で結構ですからアップした税額についてお伺いしたいと思います。
赤羽財務副大臣
 それでは私のほうからまず平成18年度における家計の負担増額について、簡単にお答えさせて頂きたいと思います。平成18年度税制改正を含めましたこれまでの税制改正による負担増につきましては平成16年度改正の年金課税の適正化による部分で約0.2兆円、そして平成17年、18年度改正による、今お話に出ました定率減税の縮減、廃止によって約1.7兆円、そして本年度改正のたばこ税の税率引き上げ、約0.1兆円の、合わせて約2.0兆円の国・地方合わせてでございますが、負担額の増と見込んでおります。私は以上でございます。
谷垣財務大臣
 今、赤羽副大臣からどれぐらいのボリュームのものかという答弁を申し上げまして、目的は何かというお問いかけでございますが、今副大臣からご答弁いたしましたように約2兆円の負担増のうち、大部分、約1.7兆円が定率減税の縮減・廃止によるものでございます。定率減税は、もうご承知のように、平成11年、小渕内閣のときに当時大変危機的な経済情勢でございましたから、その底割れを何とか税制でもって支援できないかということで導入された、危機対応というものであったと私は思っておりますが、厳しい財政事情のもとでございますから、見合いの財源なしに将来世代の税負担によって賄われている、それだけ国債を発行しなければいけないということをふまえますれば、経済状況の改善に応じて、その必要性を見直していくべきものだと、まあ、経済情勢においては、るる申し上げませんけれども、月例経済報告にもございますように、堅実に経済は回復しております。国内民間需要に支えられた回復になっておりますので、これを廃止するタイミングであろうと判断したわけでございます。あと、16年度の年金課税の適正化はこれは世代間の公平、それから世代内でも非常に所得のある年金を受けておられるかた、そうでないかた、まあそういった世代内、世代間の公平をめざすということでございました。それからたばこ税につきましては今日の財政事情におきまして出来る限り公債発行額を圧縮してつけが先送りしないようにしようということで、喫煙者からご負担を頂くという、こういうことであったわけでございます。
秋元委員
 今、ご説明頂きましたように、今回では我が党でも議論となった、主な方向ではやっぱり今回の税制改正、景気対策型からの転換をされた、これが大きなポイントであろうかなと思っております。わが税制調査会長だった柳沢会長の言葉を借りれば、今回の税制改正というのは、財政再建型と、財政再建とそして景気回復型の中立をとった大綱であったのかなと思わせて頂きます。当然、財政再建は急がなければならない、この命は十分理解をさせて頂いておりますけれども、一点、この財政再建の中の財政難、このことについてお伺いしたいのですけれども、財務省が考える財政難と、まあ、いろんな角度があると思うのですけど、今回はこの債務額ですね、債務額そのものについて重点を置くか、もしくは対GDP比というものをですね、重点をおくか、その点についてお伺いしたいと思います。
財務大臣
 財政の健全性、逆に言えばどれだけ危機に瀕しているかといえば、色んなものがございまして、一つだけこれと捉えるのはなかなか難しいと思っております。いわば総合判断でございまして、国・地方合わせてGDPの150%を超えた公債発行残高というのもそうでございますし、一般会計80兆円をちょっと切る中で公債依存率が36.7%と、これが平成18年度予算でございますから、それも財政難を表すメルクマールだろうと思います。今、委員のお尋ねは、恐らく今後のですね、財政改善の指標に何を求めるかということとの関係で、公債発行残高そのものなのか、GDP比なのかというお尋ねなのだと思います。これは実は経済財政諮問会議で与謝野のもとでこれから詰めていく、プライマリーバランスを回復した後の財政再建の目標は何なのかということに関連してまいりますので、今結論を持っているわけではございませんけれども、なかなかその、残高そのものを抑えていくという目標を立てるのはそう簡単ではございませんで、GDP比で圧縮をしていくということが目標なのかなと自分の頭の中では思っておりますが、今後これは議論をつめていかなければならないことと思っております。
秋元委員
 そのまさに大臣がおっしゃった方向性の中でですね、私的だというお話がございましたが、内閣府のほうで、シミュレーションというものを出しておられるわけでございますね。この経済財政モデルのシミュレーションであります。今年のデータはまだ出てないと思いますが、昨年出されたデータの中で個人所得課税を名目GDPの1%相当を継続的に増税していった場合のシミュレーションが出ていると思うのですが、これをちょっと説明して頂けますか。
斉藤計量分析室長
 お答えいたします。ご指摘の改革と展望の参考試算に用いております経済財政モデルでございますけれども、これについて乗数テストを行いますと所得税を継続的に増税した場合、可処分所得の減少を通じまして実質GDPを減少させます。それが物価へのマイナス効果をもたらしますので、合わせまして名目GDPを押し下げる効果をもたらすことになっております。なお補足いたしますと、本年の参考試算に用いましたモデルは昨年のものと違いまして、SNAで新たに採用されました連鎖方式とかあるいは基準改定を織り込んだ、今第二次版というものを使っております。ただそこでも今申し上げたような経路・効果、発現経路は変わっていないというように考えております。
秋元委員
 パーセンテージをいうとピンと来ないのですけれど、これを金額ベースにしますと名目GDPの1%相当ということは、約5兆円でありますね。そして結果的に循環をしながら名目GDPを押し下げる、金額にして7兆円であります。今回の、先程、財務省の答弁にありました増税額というのは、国民負担増の額というのは、2兆円でありますから約半分と考えますとね、結果的に名目GDPを押し下げる、そうすると結果的には財政ということを考えれば対GDP比だと負担を押し上げてしまうという結果になっていくんじゃないかなと、その結果は景気に対して悪循環をもたらす要因になっていくんじゃないかという気がいたしているのですけど、そのへん、与謝野大臣如何ですか。
与謝野金融担当大臣
 答弁なし
斉藤計量分析室長
 今、おっしゃいました効果の大きさでございますけど、それは去年発表したモデルの乗数テストを元にしていると思います。今年のモデルを使いますとそれよりは幾分小さくなるようでございまして、乗数で申しますと、名目GDPで1%相当額を所得税で増税(実際には「減税」と言っているが、増税の誤りであることを内閣府から確認)した場合ですね、名目GDPの水準は標準解に比べまして1年目にはー0.78、2年目にはー1.26%になります。で、それが大きく経済を押し下げるのではないかというお話でございましたけれども、税制改正の影響でございますが、財政再建は先程財務大臣からご説明がございましたような規模でございましたが、それのGDPへの影響というのをだいたい概算いたしますと、実質GDPでは0.1から0.2くらい押し下げることになると思います。それが景気にどういうふうに影響を及ぼすかということでございますが、現在景気は着実に回復しておりまして先行きにつきましても企業部門の好調が雇用所得環境の改善を通じて家計部門に波及するというふうになっておりますので、引き続き景気が回復を続けていくと考えております。18年度についても民間需要を通じての緩やかな回復を続けると見込まれておりますので、様々な税制改正の影響なども十分吸収可能であると考えております。
秋元委員
 事前通告しておりませんでしたけど、ちなみに今回増税、国民負担率を上げなかった場合のシミュレーションについて今直感で答えられますか。
斉藤計量分析室長
 申し上げます。そういうふうなものはちょっとやっておりませんで、それは色んな影響がまたでてきますので、ちょっと今申し上げることはできません。
秋元委員
 財政再建というのは差し迫っている目標ですからいたしかたないし、またはさんざん、昨日、一昨日の中でもうこのプライマリーバランスというものをしっかり考えていかなければならないというのは当然理解をさせていただいていると思います。そこで私は去年の質問でもさせていただいてもらったのですが、やはり名目GDPの規模を拡大していく、経済規模を拡大していく局面でなければなかなか元気になっていかないんじゃないかなというのは私の持論として、ずっと思わしていただいているところでありまして、そう言った中に世界、少なくともOECD平均を見ていきますとね2004年度ですと、まあ、アメリカはめちゃくちゃ高いわけですけど、だいたい平均2004年のデータだと5.6%ぐらいがOECD加盟国の名目成長率の平均で思っているんですね。それをふまえますと、日本で今年で1.6、来年の見通しだと2.0、残念ながら非常に低い傾向にあると思うのですが、一人当たりのGDP平均を見ても日本はかつてトップだったのですけど、今現在、現在といいますかね、これデータが無いんで、2004年のデータだと11位まで下がってしまっているというわけでありましてね、そういうことから考えますとね、やはり名目成長率というものをある程度、高めに設定していく必要性が、一時期私はあるのではないかと思っているのでありまして、我が国における名目成長率の適正値というものは、どのへんを考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
与謝野金融担当大臣
 一番大事なのは、本当に日本の経済が成長しているかどうかということで、これは実質成長率の話だと思います。名目成長率を高くしろというのは、いわば、人によっては、これはインフレ期待ではないかということをいう方がおられまして、私はそれは一面の真実を語っていると思います。私どもが初めて議員になりましたときに国会の中には物価問題調査特別委員会というものがございまして、物価問題というのは国民の極めて重大な関心事であったわけでございます。私どもとしては日本の本当の意味での経済の実力、すなわち実質的な潜在成長力を高めるという政策は極めて重要だと思っておりますし、その日本の経済を力強くなおかつ成長させていくための成長力、しかもそれを実質的な成長力、これを高めるための国民的な努力、あるいは政治の努力というのは必要だと思っております。そのときに、成長に伴う健全な物価上昇と言うことはあるわけでございまして、そういう成長に伴う、物価上昇というのは、国民もお許しを頂けると思っておりますが、人工的にインフレ、名目成長率だけを上げるという、いわゆる上げ底をやるというのは、私は国民が望んでいるという政策とは思っておりません。ただし、今のように物価が下落してきたという経験を持った日本経済ですから、やはり物価が成長率に伴って健全な状況で上がっていくということは、それは望ましいことであるし、実質成長率に伴った健全な物価上昇というのは容認頂けるものと思っております。
秋元委員
 与謝野大臣のおっしゃることはごもっともだと私も思っております。ただ、我々は政治として国民に色んな意味での期待というものをですね、同時にかけていかなければいかないし、やはり名目成長率、これにつきましての成長アップというのは、やはり経済規模全体を示すと言うことについて、私は大幅にというか適正に上がっていくということが私は必要なことだと思っています。その中で政治が名目成長率、要するに経済成長の話をしますと、必ずクロスカウンターが飛んで来るわけでありまして、財務省からですね、政府税調に出したデータの中にですね、成長率アップは財政が悪化すると、そういったコメントを出されているのですが、ちょっとこれについて説明をしていただけますか。
赤羽財務副大臣
 お答えいたします。今委員が言われたのは本年2月17日の政府税調に対しまして財務省が提出した資料のことだというふうに思います。そもそもこの資料につきましては、それまでの政府税調におきまして、税調委員から名目成長率について種々の前提を儲けた場合に財政収支にどのような影響があるのかということを、ある一定の仮定を設定して、試算せよと、こういったご質問に応じまして提出した資料でございます。中身は名目成長率と金利をイクオールにしたりとか、公債残高GDP比を143%と、こう置いたりとか、まあそういった一定の仮定に基づきまして、名目成長率が3%から4%に、1%高くなったときには、それぞれ2015年度の段階での財政収支への影響がどうなるかというものを試算したものであります。中身について話しますか。
秋元委員
 ああ、いいです。成長率が上がっていく局面では、長期金利の上昇がどうしても考えられて、それによって結果的には財政が圧迫されるということを多分財務省は示しているのではないかなと私は思っているのですが、そこでですね、データ的にどういう幅を持たせるのか私は分かりませんけれども、当然利子が上がっていくということは、国としてまた財務的に圧迫するということはよく分かるのですが、同時に国債そのものを市中で持たせている以外、日銀にも、要するに国側が財産として持っている部分、それについては利払い、逆にいうとそれは国に入ってくるものでありますから、そういうものとの相殺を考えておいた場合は、これは細かく質問通告しておきませんでしたけど、このシミュレーション、今おっしゃられたシミュレーションをした場合において相関関係になるか、大臣直感的にどうですかね。
与謝野金融担当大臣
 まあ、一定の前提を置いて成長率が3%の場合と4%の場合、まあ、いずれも名目成長率、これで財政にどういう影響があるかという試算を我々もやったことがありますが、名目成長率が1%上がりますと、当然税のほうは余計入ってくるということは確かでございます。ただし、出て行く方はどうかと言いますとやはり成長率が1%高くなりますと、当然金利も高くなりますから、国債の利払い等の金利、出費は多くなる。これは出て行く方が多くなる。それから物価に連動した支出がございます。社会保険関係費の支出がそうですが、これが当然多くなりますので、差引勘定しますと、3%から4%に成長率が上がってもですね、むしろ出て行くほうが多くなる可能性もあるということで、ただ成長率を上げていけば、財政が余裕が出てくるという単純な話ではないと思っております。
秋元委員
 そうおっしゃると思っていましたが、しかし物事は考え方だと私は思っておりましてですね、最終的に出て行く長期金利、これにつきましては私は実は国債について日銀の存在を忘れてはならないと思っているんです。実は今日日銀をお呼びしたんですけれど、残念ながら今日、明日、大事な決定会合があるんで、どなたも来れないと言うことで残念に思っているところでありますけれども、だいたいこの買いオペ、日銀に対して直接の引き受けは出来ないんでしょうから、買いオペの話をしますと、日銀のバランスシートが崩れるよという話があるんですが、これは日銀がいない形で与謝野大臣に聞くのは大変恐縮なのですけれども、主観で結構ですから、日銀が買いオペをして利率の問題を議論するときに日銀が保有する国債の金利を利付きに替えるだとか、または非市場性に替えるだとか、短期的に一時的措置を取るならば、多少の長期金利の上昇分の金利リスクは回避されるのではないかと思うのですが、如何でしょうか。
与謝野金融担当大臣
 ですから今、秋元委員のご質問は長期金利というものを誰かがコントロールできるのかという問題だと私は思います。私は長期金利は中長期の長期金利は誰もコントロールできないと思っております。日銀がコントロールできるのか、日本国政府がコントロールできるのか、これは長期金利は市場で決まるものでございまして、お金の出し手とお金の取り手の関係で決まってくるものと思いますし、それでは日本人だけで決められるのか言いますと日本の市場は国際的に開かれていますから、日本人だけで決められるものでもありません。しかし、短期的にどうかと言いますと短期的には非常に短い期間もしかしたら買いオペをやってですね、長期金利をコントロールできるかもしれませんけれど、それは極めて短期的な話であって、ある相当な期間にわたって長期金利は市場の実勢に基づいて決まってくると私は思います。ただ、買いオペなどをやって多少の影響を公使することはできてもそれが長期金利全体をコントロールできると思うことは、少し考えすぎかなと思っております。
秋元委員
 有り難うございました。予定の質問がありますので、次の質問に移らせていただきますけれども、今日は日銀がいないから議論はできませんし、また今日、明日大事な決定がある時に、政治側としては非常に懸念をしている日銀の量的緩和の解除、本当どうなるのかなと、ある意味心配をして見守っているわけであります。小泉総理も再三言っておられます。ともかくデフレだけは克服しなければならない。同時に財政再建をしなければいけない。本当に今の内閣の皆さんとしては相反することを同時にしなければならないという、大変つらい立場じゃあないかなということは大変理解させて頂いております。その中で日頃から日銀の独自性ということは言われるわけではありますけれども、やはりデフレ状況下においては、日銀の独立性というよりは、むしろ政府と日銀が一体となってこのデフレ克服に向かうというのが正しい姿ではないかと思っております。この点について与謝野大臣如何ですか。
与謝野金融担当大臣
 日銀は日銀としての独立性があることは日銀法に書いてございますが、日銀法の第4条を読んでいただくと日銀は金融政策を行うときに、政府の経済政策との整合性を考えなければならないということを書いてございます。それから制度的には財務大臣また経済財政担当大臣が日銀の政策決定会合に出て意見を申し上げることができます。日銀と政府は当然経済政策に関しましてはよく意見も交換し、それから日本の経済の発展のために一体的な取り組みこういうことをするわけでございますけど、最終的な金融政策の決定というのは日銀の政策決定会合で多数決をもって行われる、しかもその議事録は公開されるということですから、そこで決められたことは、我々は尊重しなければならないと思っております。当然のことながら、独立して物事を判断されるわけですから、その判断には責任を伴うということは当然のことだと、私は思っております。
秋元委員
 有り難うございました。やっとこの長い不況から脱し、我が国の経済が回復基調になってきた。これは本当に喜ばしいことだと思っております。ですからこそ、再び日銀と政府の、こういう言い方をしたら大変失礼かもしれませんが、政策の失敗によってですね、またデフレスパイラルになることだけは、絶対に避けなければならないと思いますので、政府関係者のご努力を切に願うわけでございます。次にテーマを移らさせていただきます。
以下略
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